富田林市の南東、獄山(だけやま)中腹にある「龍泉寺(りゅうせんじ)」の呼び名で知られるお寺。
蘇我馬子の悪龍退治にまつわる真言宗の古刹で、季節の花々が彩る池泉回遊式庭園も美しく楽しめる、薬師如来を御本尊とする真言宗のお寺です。
寺伝によると、594年(推古天皇2年)に推古天皇の勅命により、蘇我馬子が勅命を受けて、昔から池に住む悪い龍神(悪龍と呼ばれる)が里に住む人たちに害を与えていましたが、蘇我馬子が修法を行うと龍が逃げ去り、その後にその地に龍泉寺を建立したと言われています。
しばらくしてから、悪龍が仕返しとして境内の池と山麓の水脈を枯らしてしまったそうです。
823年(弘仁14年)正月8日に弘法大師(空海)の加持祈祷により七日目の一夜に大雨が降り、水を得て境内の池は清水に満たされ、この時池の中に3つの島が出来たとされています。
3つの島には水神である「弁財天(べんざいてん)」、その両側に「茶枳尼天(だらにてん)」と「聖天(しょうでん)」が祀られ、鎮守社(現・咸古神社<こんくじんじゃ>)に牛頭天王を祀ったと言われています。
また、弘法大師が龍神を祀ったと言われる井戸は「雨乞井戸」として現在も残されています。
桜並木の美しい参道を通り重文の仁王門を入ると、正面に本堂があり、その左手には国の名勝に指定されている素朴で穏やかな庭園を見ることが出来ます。
池を中心に周囲を木立に囲まれた庭園は南北朝以前のものと言われ、龍泉の名が示す通り、龍神にまつわる伝説が今もなお伝えられています。
草木は、桜、ツツジ、モミジなどがあり、多くの方が訪れます。
庭園以外にも奈良時代の塔の心礎、前途の仁王門に納められた仁王像(鎌倉時代)、聖徳太子二才像(南北朝時代)など中世の繁栄を偲ぶ多数の文化財が残されています。
【境 内】
本堂
行者堂
大日堂
聖天堂:歓喜天(聖天)を祀る。
龍泉寺庭園(国指定名勝):
池泉回遊式庭園の浄土式庭園があります。
南北朝時代以前の影響を伝える造りとなっていて、庭園中央には池があり、池の中に3つの小島があります。
弁天堂
叱天社
聖天社 - 歓喜天(聖天)を祀る。
雨乞井戸(龍王井戸):
弘法大師(空海)がここで雨乞いをし、八大龍王を勧請して祀ったと言われています。
咸古神社(こんくじんじゃ):かつての当寺の鎮守社。
搭礎石
阿弥陀堂
伝尊性法親王の墓:
後醍醐天皇の皇子とされる「尊性法親王」と呼ばれる人の墓。
実際の尊性法親王は後醍醐天皇の皇子ではない。
鐘楼
仁王門(重要文化財):
1275年(建治元年)再建。
大阪府下唯一の古い八脚門で大変貴重な文化財とされています。
金剛力士像も1275年(建治元年)の作と言われています。
つつじ園
庫裏
史料庫